はじめに
企業のデジタル化が進むにつれ、サイバーセキュリティの重要性が増しています。特に、サイバー攻撃や内部不正が増加する中で、ログ監視は企業の情報資産を守るための重要な施策です。本記事では、ログ監視の基本やメリット、効果的な導入方法について解説します。
ログ監視とは?
ログ監視とは、システムやネットワーク上で発生する各種のログ(記録)を収集・分析し、不正アクセスや異常な挙動を検出する仕組みです。
主なログの種類
- システムログ:OSやアプリケーションの動作履歴
- ネットワークログ:通信履歴やアクセス状況
- セキュリティログ:不正アクセスや認証の成否
- 操作ログ:ユーザーのファイル操作やコマンド履歴

ログ監視の重要性
ログ監視を適切に行うことで、企業の情報資産を保護し、業務の信頼性を向上させることができます。
ログ監視のメリット
- 不正アクセスの早期発見:サイバー攻撃や内部不正の兆候を検知
- 情報漏洩の防止:データの不正な持ち出しを監視
- システム障害の予防:異常な動作を検知し、迅速に対応
- コンプライアンスの遵守:各種規制(ISO 27001、GDPRなど)への対応

実際の事例:サイバー攻撃と内部不正による損害
事例1:某大手企業のランサムウェア被害
ある大手企業では、社内ネットワークにマルウェアが侵入し、データが暗号化される被害が発生しました。攻撃者は身代金を要求し、企業は業務停止を余儀なくされました。この事例では、ネットワークログの監視が不十分だったため、異常な通信を早期に発見できませんでした。
事例2:内部関係者による顧客情報の持ち出し
ある金融機関では、従業員が顧客情報を無断で外部に持ち出し、不正に販売していたことが発覚しました。ログ監視が行われていれば、USBデバイスへの不審なデータ転送や、大量のファイルアクセスを検知し、早期対応が可能だったと考えられます。
事例3:不正アクセスによる機密情報の漏洩
某技術系企業では、社内システムへの不正アクセスにより、開発中の製品情報が流出しました。攻撃者は外部から管理者アカウントを乗っ取り、重要データにアクセスしました。適切なセキュリティログの監視とアラート設定があれば、異常なログイン試行を検知し、迅速な対応が可能だったでしょう。
ログ監視の導入方法
1. 収集するログの選定
企業の業務内容やセキュリティ要件に応じて、適切なログを選択することが重要です。
2. ログの管理と保管
- 適切な保存期間を設定(例:6ヶ月〜1年)
- アクセス権限を管理し、不正な改ざんを防止
3. 異常検知とアラート設定
- SIEM(Security Information and Event Management)ツールの活用
- 機械学習やAIを活用した分析
ログ監視ツールの選定
代表的なログ監視ツールとして、以下のようなものがあります。
- マイウォッチャークラウド(株式会社インテリジェントワークス):クラウド型の統合ログ監視ツールで、導入のしやすさと高度なセキュリティ機能を兼ね備えています。
- ログボックス(株式会社テクノプロ):大規模システムに対応した、高速なログ解析機能を持つ製品です。
- SonicWall Analyzer(ソニックウォールジャパン):日本市場向けに特化した、ネットワークとセキュリティの監視ツールです。
自社の規模やニーズに応じて、適切なツールを選びましょう。
ログ監視の課題と対策
課題1:ログデータの膨大化→ フィルタリングや重要ログの優先管理を実施
課題2:監視体制の整備→ SOC(セキュリティオペレーションセンター)の導入
課題3:法的要件の遵守→ データ保護法に準拠した運用ルールを策定
まとめ
ログ監視は企業のセキュリティ強化に不可欠な要素です。適切なログの収集・分析を行い、不正アクセスやシステム異常を早期に検出することで、情報資産を守りましょう。適切なツールを選定し、監視体制を整えることで、より安全なIT環境を構築できます。
